活動報告
古典の美が創る京都の魅力シンポジウム
22/10/2015
同志社大学創造経済研究センターでは、「国家ブランディングを高めるコンテンツ産業の育成に関する調査・研究」の一環として、「伝統文化の現代的創造研究会」を発足し、日本文化の本質的普遍的価値とはいかなるものであるのかを明確にし、その価値を現代の文脈に付与する方法を、多様な領域の研究者や伝統芸能の関係者とともに追究している。 日本舞踊、能楽、茶、華といった日本を代表する伝統文化が、京都という「伝統」と「革新」とが共存する空間において、どのように継承され、再創造されて現在に至っているのか、そして、現代社会を生きる若い世代や国際的社会に向けてどのように文化を受け継ぎ、発信していくべきか。 本シンポジウムでは、この地に根を下ろして活動する伝統芸能関係者と研究者との共創により、これらの問いを解き明かしていく。
京都の美 ~シンポジウム「古典の美が創る京都の魅力」に寄せて~
京都は美しい。何故これほど美しいのか? 街をとりまく自然、お寺や庭などの構築物、歴史を物語る街並みや祇園祭などの催事・・・。違う。物理的景観だけなら、世界にいくらでも美しい街はある。 京都の美しさは、自然の中で美を愛おしみ、慈しみ、それを生活の基準にする京都のひとびとによって作られた。京都人の美に対する飽くなき憧憬と誇りが、通りの名前や、老舗の名前、日々の会話や、何気ない立ち居振る舞いに現れる すべての人類は、強い好奇心をもって宇宙を読み解こうとしてきた。学問をする者はその奥に絶対的真理を、宗教者は絶対的善を、そして芸術家は絶対的美を想定した。そこに達することはできない。常にそこに向けて進むことに意味がある。 これら求道者たちは、時代の新しい息吹をいち早く察知しつつ、そこに普遍的なるものを求めてきた。京の魅力は、美をめぐる千数百年にわたる彼らの想いが集積し、いまを生きるひとびとの心に生きているところにある。
京都市芸術文化協会理事長
同志社大学特別客員教授
前文化庁長官
近藤 誠一
□記録動画
[第1部]
■邦楽演奏「みだれ・京みだれ」 演奏:平沼 泰子・仲山 暢香
■邦楽演奏「嵯峨の秋」 演奏:平沼 泰子・仲山 暢香
平沼 泰子 [箏・十七絃箏・三絃奏者]
NHK邦楽技能者育成会16期卒業。京都當道会師範、京都三曲協会所属。箏曲美その会会主。外務省よりアメリカ公演、フランス、イギリスでの演奏、京都市交響楽団との共演等、国内外の演奏会に多数出演。京都市随心院において、30年間に亘り「はねず踊り」の演奏と唄を上奏。2015年8月今宮神社織姫祭再興奉告祭にて邦楽演奏を奉納。
仲山 暢香(ようか) [箏・十七絃箏・三絃奏者]
京都當道会師範、「桔梗の会」主宰、京都三曲協会監事、NHK邦楽技能育成会第30期卒業。NHK邦楽オーディション合格。ストックフォルムジャズフェスティバル等、北米、欧州、中国にて海外公演多数。同志社大学寒梅館にて長唄吉住小代君氏と桔梗の会とのジョイントコンサート、万葉文化館において吉住小代君氏と「今に生きる万葉―額田王」を共演等、国内公演多数。2015年8月今宮神社織姫祭再興奉告祭にて邦楽演奏を奉納。
■「葵上」解説 河村 晴久
河村 晴久 [能楽師]
父河村晴夫の教えを受け3歳にて初舞台。林喜右衛門師に師事。重要無形文化財 「能楽」総合認定保持者。「猩々乱」「石橋」「道成寺」「安宅勧進帳」「屋島弓流」等を披く。同志社大学大学院修了、ハーバード大学やユネスコ本部など海外での講演、演能も多く、英語による 講演は40回を越える。2005年度文化庁文化交流使。2015年4月から同志社大学客員教授。
■「葵上」日本舞踊 藤蔭 静樹 箏 平沼 泰子・三絃 仲山 暢香(ようか)
藤蔭 静樹 [日本舞踊家]
2013年4月藤蔭流藤蔭会三代目宗家静樹を襲名。新舞踊運動の先駆者として文化功労者の栄誉を贈られ、また永井荷風の妻であったと知られる初代静樹の孫にあたる。古典作品を中心に置きつつ、新たなる可能性を模索するべく創作活動にも意欲的に取り組む。ジャズの山下洋輔、一弦琴の大西一叡など様々なジャンルと共演し、好評を博す。子どもを対象とした日本舞踊普及にも力を入れている。(公社)日本舞踊協会員、 (公財)京都市芸術文化協会員。
[第2部]
■伝統芸能の現状解説と問題提起 高島 知佐子
高島 知佐子 [静岡文化芸術大学文化政策学部准教授]
大阪市立大学大学院経営学研究科後期博士課程修了。博士(商学)。(独)中小企業基盤整備機構近畿支部での中小企業支援事業、大阪市立大学都市研究プラザ研究員、京都外国語大学専任講師を経て現職。専門はアートマネジメント。文楽や能楽、地域の民俗芸能など、伝統芸能の上演組織のマネジメントを中心に研究。2010年頃からは病院における芸術活動の実践、研究にも従事。
■講演 池坊 由紀
池坊 由紀 [華道家元池坊 次期家元]
小野妹子を道祖として仰ぎ、室町時代にその理念を確立させた華道家元池坊の次期家元。京都にある紫雲山頂法寺(六角堂)の副住職も務める。いのちをいかすという池坊いけばなの精神に基づく多彩な活動を展開。また、アイスランド共和国名誉領事として両国の友好親善の促進に尽くす。2013年にはハーバード大学においてワークショップを、またニューヨーク国連本部において世界平和を祈念し献花を行なう。2014年4月から同志社大学客員教授。
■講演 金澤 宗維
金澤 宗維 [茶道裏千家業躰四代目]
茶道業躰家に生まれる。 同志社大学文学部卒業後、1981年裏千家今日庵に入庵する。 現在、裏千家業躰、裏千家学園講師、東京藝術大学客員教授、八坂紅場学園講師として宗家直下の伝承者として全国で茶道の指導・普及に務めている。
■講演 河村 晴久
河村 晴久 [能楽師]
父河村晴夫の教えを受け3歳にて初舞台。林喜右衛門師に師事。重要無形文化財 「能楽」総合認定保持者。「猩々乱」「石橋」「道成寺」「安宅勧進帳」「屋島弓流」等を披く。同志社大学大学院修了、ハーバード大学やユネスコ本部など海外での講演、演能も多く、英語による 講演は40回を越える。2005年度文化庁文化交流使。2015年4月から同志社大学客員教授。
■講演 濱崎 加奈子
濱崎 加奈子 [公益財団法人有斐斎弘道館館長、専修大学准教授]
京都大学文学部卒。東京大学大学院総合文化研究科後期博士後期課程修了。学術博士。伝統文化に込められた知恵と美意識から学び・遊び・広める「伝統文化プロデュース連」を設立。また江戸時代の儒者皆川淇園の学問所址・公益財団法人有斐斎弘道館館長として、展覧会・講演会・国際交流イベント・アートプロジェクト等のプロデュースを手がける。北野天満宮和歌撰者。著書に『ふろしき』(ピエインターナショナル)『京菓子と琳派—食べるアートの世界』(淡交社)などがある。
■パネルディスカッション
<コーディネーター>佐伯 順子
<パネリスト> 池坊 由紀 ・ 金澤 宗維 ・ 河村 晴久・濱崎 加奈子
佐伯 順子 [同志社大学社会学部教授、 同志社大学京都と茶文化研究センター長]
東京大学大学院博士課程修了(学術博士)。国際日本文化研究センター客員助教授(1993~96年)。主著『遊女の文化史』(中公新書)『「色」と「愛」の比較文化史』(岩波人文書セレクション、サントリー学芸賞・山崎賞)、『男の絆の比較文化史』(岩波現代全書)、共著『桂坂能楽談義』(日文研叢書)等。祖母は観世流能楽師。能管・謡・仕舞をたしなむ。
□記録写真
□資料
・パンフレット
・ポスター